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六甲八幡神社 「春日移し」の社殿が残る、神戸情緒感じる神社。

六甲八幡神社 神社外観

海と山に囲まれた、自然豊かな港町・神戸。その神戸市内で灘区は、北側に六甲山・摩耶山を望み、南側に瀬戸内海を望む非常に自然豊かなエリアです。そのちょうど真ん中あたりに位置する、六甲八幡神社。この神社の創祀は今からちょうど1000年前にあると言われる説や、平清盛や石清水八幡宮と関係があるとする説など、さまざまなものがありますが、いずれにしても非常に長い歴史を持つ神社です。

現在の本殿は、奈良の春日大社から「春日移し」により移されたもので、神戸市指定有形文化財に指定されるなど、価値ある建物として地域の方々にも親しまれています。

アクセスの良い町中にありながら、境内には緑が多く、足を踏み入れれば日常から少し違う場所へ来たような感覚を味わえます。地域住民との交流も盛んで、人口減少が叫ばれる現代においても、活気ある神社として愛されています。今回は、この六甲八幡神社の歴史や見どころについて、神社職員の方にお話を伺いました。

目次

六甲八幡神社とは

六甲八幡神社 神社空撮

神戸と言えば、六甲山や須磨の海、元町の中華街など、美しい景観と美味しいグルメを楽しめる街でもあります。外国人観光客に人気の観光地としても知られ、中華街や北野異人館街やハーバー・ランドには連日、多くの観光客が訪れています。

そして、神戸の名所の1つとも言える「六甲」の名を冠するのが、この六甲八幡神社です。非常に広い境内の中に、さまざまな価値ある建築物が残され、その長い歴史を味わえる神社です。

また授与品や御朱印帳なども特徴的で、一般的なデザインのものから人気キャラクターデザインのものなど、この神社ならではの工夫が施されたものも多く、この神社を訪れた誰もが楽しめる場所です。年間を通してさまざまな行事が執り行われ、いつ来ても賑わいを感じられる神社です。

【六甲八幡神社 特別インタビュー】

六甲八幡神社 参道

阪急六甲駅南口を出てすぐ、その神社は創建以来変わらない姿で訪れる人々を温かく迎え入れてくれます。周辺には幼稚園や小学校もあり、子どもたちの元気な声が聞こえるエリアです。利便性の高い場所でありながら、境内には豊かな森があり、夏場でも快適に参拝ができます。豊かな緑に集まる自然の生き物にも出会うことができ、そんな中で過ごす時間は、非日常的な時間です。

穏やかな環境の中で、神社に人々が集まるよう防災イベントやマーケットの開催なども行い、近隣の人々が神社へ足を運ぶきっかけを作っています。

県内唯一の「春日移し」の社殿。神戸らしさを感じる「六甲」の名を冠する神社。

六甲八幡神社 社殿
編集部

本日は、神戸市灘区に鎮座されている、六甲八幡神社様へのインタビューです。神戸は全国的にも有名な、山と海を望む非常に景観の美しい歴史ある土地ですね。では、まずはこちらの神社の歴史や由来についてお聞きできますか。

神社職員様

当社の創祀の由来については諸説ございます。万寿3年(1026)水原武信という方が、この地に八幡大神をお祀りし崇敬したという説や、平清盛が福原に遷都した治承4年(1180)、京都石清水八幡宮を勧請したことに始まるという説があります。14世紀の鎌倉末期から南北朝時代の争乱を描いた軍記物語である『太平記』内で、元弘3年(1333)に摩耶城合戦の条に「八幡林」という名が登場しますが、これは当社の森のことです。戦国時代は荒廃している神社でしたが、天正年間(1573~)に林播磨という人物が修築し、その孫である林清兵衛が寛政7年(1795)に本殿などを改築しました。さらに、天明6年(1786)には、領主の石河氏が奈良の春日大社の旧社殿をこちらへ移し、社殿を造営したのが現在の本殿です。春日大社の旧本殿などを近隣の神社に移築させることを「春日移し」と呼びますが、この本殿は、県内では唯一の春日移しであり、春日移しの中では最も西にある建物です。また、平成28年に神戸市指定有形文化財に指定されている、非常に価値ある本殿です。

編集部

神社はもちろん、社殿にも歴史があるんですね。春日大社から移された社殿というのは、これまでには聞いたことがありません。非常に珍しい社殿ですね。では、こちらの神社の魅力や特徴についてお聞きできますか。

神社職員様

当社は、阪急六甲駅の南口を出て徒歩すぐの場所に位置しています。アクセスの良いとても便利な場所ですが、町中にありながら境内には大きな楠やイチョウなどが残っており、比較的自然を楽しめるロケーションです。

編集部

地図を拝見する限りですが、確かにとても緑の多い境内ですね!夏場でも涼しさを感じられそうですし、日常の散歩コースにもちょうどいい環境ですね。

県重要文化財指定の価値ある建物。神社内でのイベントも活発に。

六甲八幡神社 夏越大祓
編集部

では、境内に残されている社殿などについて、建築面の特徴はありますか。

神社職員様

先ほどお話した本殿に加え、厄神宮本殿は昭和50年3月18日に兵庫県重要文化財(143号)に指定されています。斗きょう部※1、蛙股(かえるま)※2並びに妻組(つまぐみ)※3など、細部手法も当時の技風を残しています。神社や寺院の建築では、建物の正面に張り出した庇のことを「向拝(こうはい)」と呼びます。この向拝を支える2本の柱の間の寸法は「向拝柱間(こうはいばしらま)」と呼ばれ、通常は一間(約1.82m)とされています。また、神社本殿の正面は、柱間が三間(柱が4本)ある「三間社(さんげんしゃ)」という形式が基本です。しかし、この建物ではその原則よりも柱間を広く取って平面が構成されています。これは、この種の建築における平面形の変遷を知るうえで、たいへん興味深い例といえます。一部には失われている部分(昇り高欄や身舎正面の戸溝)や、後から補われた部分(縁高欄)も見られますが、全体としての保存状態は良好で、よくまとまった姿を保っています。貴重な遺構として高く評価されています。平成7年(1995)の阪神淡路大震災によって全壊しましたが、その後再建され現在に至っています。

※1…柱の最上部や、軸部の上に設置され、軒桁を支える部位の名称
※2…寺社建築において梁や桁の間に設置され、上部の荷重を支える山形の部材。蛙が股を広げたような形に由来し、平安時代以降、装飾的な彫刻が施されるようになった。
※3…建物側面の三角形の壁(妻)を支える小屋組の構成や、そのデザインを指す重要な建築要素。

編集部

とても貴重な建物なんですね。震災によって失われた後も、再建されて良かったです。では、地域の方にとってこの神社はどういう存在だと思われますか。

神社職員様

ここ数年で、神社南の広場にて自治会が子ども向けのイベントを行ったり、地域の防災訓練をイベントとして楽しく参加できる形で行っています。また、ハンドメイドなど手作りの品を販売するマーケット、農村の手仕事や講座、ゼミなど、農業を学べる農作物などのマーケットの開催地に選ばれるなど、とても賑わいがあります。私たちは、神社自体が自然と地域の人々が集まる場所になればという思いがあり、こういった活動が神社で開催されるのはとてもありがたいことだと思っています。

編集部

さまざまな行事が行われているんですね!とても楽しそうです。それ以外に神社で行われている行事などはありますか。

神社職員様

当社では、厄除の神様をお祀りしており、毎年1月18日・19日の2日間にわたって、厄除大祭を行っています。当日は厄除の破魔矢をお求めになる方でとても賑わいます。

神社職員様

また夏越大祓では大きな茅の輪を設置しており、今年の夏越大祓は平日の開催ながら多くの方にお越しいただきました。

神社職員様

ほかにも、年明けの正月祭や節分祭、初午祭、春季・秋季大祭、年越大祓など、年間を通してさまざまな行事を執り行っています。

今後の展望

この先も当社を含め、全国の神社という場所が、ずっと残っていってほしいと思っています。神社は、古来より人々が自然と集まる場所でした。そんな場所がなくなることなく、いつまでも訪れる人を温かく迎え、たくさんの人が集まる場所であり続けたいと考えています。そんな場所となれるよう、神社内でも整備を進め、地域の人々に親しまれる場所でありたいと願っています。

インタビューまとめ

神戸は、どのエリアを見ても自然が豊かで、心地よい風を感じられる地域です。1995年の阪神淡路大震災から見事に復興を遂げ、この地を訪れた多くの人が「また来たい」と思える場所です。

そんな地域に鎮座し続けてきた六甲八幡神社は、地域の人々から愛され、神社内で行われるさまざまな行事の影響もあり、自然と人々が集う場所になっています。厄除の神様をお祀りし、その御利益を求めて多くの人が祈祷に訪れ、地域の人々の平穏な暮らしを守っています。

阪急六甲駅からすぐという、誰もがアクセスしやすいロケーションに位置するこの神社は、この先も変わりゆく時代をこの地で見守り続け、たくさんの人々の記憶に残る神社としてあり続けるでしょう。

六甲八幡神社

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この記事を書いた人

ラボ編集部のアバター ラボ編集部 編集者・取材ライター

歴史と文化遺産に情熱を注ぐ29歳の編集者、山本さくらです。子どもが1人いる母として、家族との時間を大切にしながらも、文化遺産ラボの立ち上げメンバーとして、編集やインタビューを担当しています。旅行が大好きで、訪れる先では必ずその地域の文化遺産を訪問し、歴史の奥深さを体感しています。
文化遺産ラボを通じて、歴史や文化遺産の魅力をもっと多くの方に届けたいと日々奮闘中。歴史好きの方も、まだ触れていない方も、ぜひ一緒にこの旅を楽しみましょう!

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