北海道は、明治時代に土地開拓が進みアイヌの人々の暮らしぶりが少しずつ明らかにされ、開拓から100年以上経った今でも、地名や文化など、随所にアイヌ文化の名残を見ることができます。
今回は、そんなアイヌの言葉を語源とする「音更町」に鎮座する、音更神社をご紹介します。十勝平野に流れるたくさんの川をはじめとする、雄大な自然を間近に見ることができるこの神社では、森や川などの自然だけでなく、野生動物に会えることが特徴の一つです。
そんな神社の見どころや創建からの歴史について、権禰宜様にお話をお伺いしました。広大な北海道という地で、地域住民にとっての憩いの場となっているこの神社の見どころを、たっぷりとお届けします。
音更神社とは
今から126年前の1900年、音更神社は現在の地に創建されました。創建以来、河東郡の総鎮守として、土地全体とそこに暮らす人々の生活を穏やかに見守ってきました。
伊勢神宮より天照大御神様をご勧請し、末社である姫宮神社では、「お稲荷さん」として親しまれる、五穀豊穣の神様である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、大黒様として知られる「大己貴神(おおなむちのかみ)」、農耕の神様である「大山咋神(おおやまくいのかみ)」をお祀りし、辯財天宮では弁財天様である「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」をお祀りしています。非常に多くの御利益で知られる神社です。
神社では、お人形感謝祭や雅楽演奏会なども実施され、特に雅楽演奏会は神職の方々ではなく一般の方々で構成されている、とても珍しい雅楽会です。神社での行事の際には演奏会の存在が欠かせないものでもあり、その功績は文化庁などにも認められているほどです。北海道の道東地域において、欠かせない神社として地域の皆さんに親しまれています。
【音更神社 特別インタビュー】
境内には、平成10年に建て替えられた、まだ綺麗で立派な社殿が参拝者を迎え入れ、訪れた人はきっと、広大な境内を取り囲む緑の多さに思わず息を呑むほどです。神社周辺には住宅街が広がり、野球場や小学校なども見られる活気のある場所である一方で、神社を取り囲む原生林は、開拓当時のものがそのまま残されています。これは非常に珍しいことであり、このエリアに足を踏み入れれば、町の風景とは全く違った、まさに森の中に来たような気分を味わえるでしょう。
春夏秋冬、四季の違いをハッキリと感じられるこの場所で、126年の歴史を紡いできた音更神社。その歴史と創建の背景を紐解いていきます。
アイヌの言葉が由来の地名。雄大な自然を携える貴重な立地。
編集部本日は、北海道音更町に鎮座されている音更神社様へのインタビューです。こちらの神社名でもあり、地名でもある「音更」という名前、とても珍しい名前ですね。



北海道の地名は、その歴史からアイヌ語由来のものがほとんどです。「音更」という名前は、もともとアイヌ語に「オトプケ=毛髪」という言葉があり、そこから来ています。なぜ「毛髪」の意味を持つ名前になったかというと、十勝平野には、現在でも音更川、然別川、十勝川などの大きな川のほか、小さな川が山からたくさん流れています。その様子が髪の毛のように見えるため、そのような名前になったと言われています。山から栄養分をたっぷり含んだ土が流れてくるため、川が流れるこの地域は、良い土地だと言われています。



とてもよく分かりました。やはりアイヌ語由来の地名なんですね。歴史を感じられてとても面白いです。では、まずこちらの神社の創建の由来からお聞きできますか。



当社は、明治33年(1900)に、三重県の伊勢神宮より御分霊をいただき、この地に天照大御神様をご勧請しました。それ以来、音更町はじめ河東郡の鎮守として126年の歴史を刻んできました。昭和21年(1946)には宗教法人となり、平成10年(1998)に、社殿と祖霊社の建て替えなどの境内整備を進め、その後も、節目の年には式年祭を実施し、神社のこれまでの歩みを振り返っています。ホームページに写真が載っている、元海軍大臣であった「仁禮 景範」が、自身の農場を作るために、伊勢神宮より神様を勧請し、この神社を創建しました。



では、こちらの神社の特徴的な点はどういったところでしょうか。



いくつかありますが、まずは「お人形感謝祭」が特徴的です。仏教で言うところの供養にあたりますが、神社へ大切なお人形を預けていただき、お人形の御霊を慰めて神様の元へとお還りいただく、そういった神事を執り行っています。今年で34回目を迎え、地元だけでなく釧路や北見などの北の地域からも、雛人形や日本人形、フランス人形など、さまざまなお人形を預けていただいています。





お人形は小さい頃から長く大切にされている方も多く、いざ手放すとなると、処分に困る方が多いですよね。こういった神事を実施されている神社があれば、とても安心できると思います。お人形たちも安心して神様の元へ帰っていると思います。
神社専属の雅楽演奏会も。エゾリスも遊びに来る、自然あふれる境内。





ほかに、音更神社伶人会(れいじんかい)という、雅楽演奏の会があります。通常、雅楽と言うと神職はじめ宗教者が行うイメージがあるかと思いますが、当社の伶人会は一般の方で構成されているとても珍しい演奏会です。この伶人会は昭和7年に結成され、今年で94年目を迎えるとても歴史のある会です。現在の宮司の曾祖父にあたる佐々木清之助が宮司に着任された翌年に結成され、現在も、神社の神事などで演奏を披露してくれています。



とても素敵な会ですね!たしかに、一般の方で結成された雅楽演奏会というのは、あまり聞いたことがありません。この神社ならではの貴重な会ですね。









平成14年に組織化し、雅楽の普及に貢献しているという点から、文化庁や神道文化会という一般財団法人から助成金をいただいています。これも雅楽の演奏会では珍しいことかもしれません。その歴史も実力も認められている、特別な演奏会です。



神社の行事でその音色を聞けるというのは、とても贅沢ですね!



また当社の境内には、エゾリスがよく来ることで知られています。100年以上前の御社殿にはエゾリスが彫られており、その姿を写真に収めようと訪れるカメラマンの方も多くいらっしゃいます。他にも、野生の植物がたくさんあり、通常では山へ行かなければ見られない植物も群生しているのが特徴的です。そういった、野生の動植物をすぐ間近で見られるのは、北海道の神社ならではの特徴だと思います。





やはり北海道と自然は、切り離せない関係ですよね。雄大な北海道の地で感じる自然は、本州で感じるものとはまた違って、特別なものに感じられそうです。



ここでしか見られない自然もたくさんあると思います。自然との繋がりだと、当社は街中にある神社ですが、開拓当時の原生林が神社周辺にそのまま残っており、これもとても珍しいことです。やはり、住宅用地としての開拓などが進むと原生林は伐採されることが多いのですが、音更の森の原生林はそのまま残されており、樹齢500年ほどのハルニレという木があり、境内も非常に広く、その一部は音更町役場へ無償で貸し出し、地域の方々の憩いの場としてご利用いただいています。ときどき、保育園や幼稚園の子どもたちが遊びに来てくれることもあり、とても可愛い姿を見ることができます。
70年以上続く大注連縄の奉納。周辺神社と協力しながら、地域を見守る。



地図で拝見する限りでも、かなりの森が広がっていますね。とても自然豊かな場所で、子どもたちにとっても自然がたくさんの場所で育つことはメリットが多いと思います。



ほかに、大注連縄も特徴的で、その大きさは十勝地方で1、2を争う大きさです。76年前から地元老舗の葬儀社様より当社への奉納が始まり、地域の方にご協力いただいて鳥居に取り付けています。重さは数百キロあると言われており、その大きさから、複数のメディアにも取り上げられています。



お写真で拝見しましたが、とても立派な注連縄ですね!これはとても価値のあるものだと思います。また、周辺には他の神社がとても多いようですね。



はい。当社のほかに20社の神社があります。その中には、音更町神社連合会に所属している神社も多くあり、地域の神社が一体となって、この地域を見守っています。年間行事としては、先ほどお話したもののほかに、どんど焼きや交通安全祈願祭、七五三、商売繁盛祈願祭など、多くの神社で行われている行事があります。新嘗祭のときには、その場でのそば打ちの協賛を頂き、美味しいお蕎麦を奉納しています。



賑わいのある神社ですね。周辺環境も自然豊かで、とても魅力のある場所だと思います。
今後の展望
この先も、現在の神社の形を守りながら周辺地域の方との交流を絶やさず、地域にとって必要な神社であり続けたいと思っています。この神社ならではの行事や取組みなども大切にし、河東郡の総鎮守として地域の方々やここを訪れてくれる方を見守り続けたいと思います。
インタビューまとめ
今回は、神社の権禰宜様にお話をお伺いしましたが、とても楽しいインタビューとなりました。神社の魅力をたくさん語っていただき、どのお話もこの神社ならではのもので、聞いていてとても楽しいものでした。
まだまだ全国的には訪れたことがない人も多いと思われる音更町。ですが、そこには北海道でしか出会えない、素晴らしい自然が残されており、訪れればきっと「これぞ北海道の魅力」と思えるものだと思います。
そして、音更町へ立ち寄った際には、ぜひ特徴に富んだこの音更神社へも足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。きっと、可愛らしいエゾリスもあなたの参拝を待っていますよ。
音更神社
住所:〒080-0103 北海道河東郡音更町元町3番地
TEL:0155-42-2170
FAX:0155-42-2210
メール:info@otofukejinja.jp
受付時間:9:00~17:00
URL:https://otofukejinja.jp/








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