福岡市ととても繋がりが深い黒田長政公。優秀な軍師として名高い黒田官兵衛の嫡男として福岡へ入り、福岡城をはじめとする城下町の整備など、福岡の町そのものを作ったと言われている人物です。鳥飼八幡宮はその長政公とも縁があり、かつては鳥飼という地にあり、そこから現在の中央区今川へ遷座しました。
2024年には205年ぶりに社殿を建て替え、その姿は他の神社では見られない、とても現代的且つ幻想的でありながら、古代からの人々の思いやストーリーが詰まったものとなりました。参拝に訪れる人々はその美しさに魅了され、周辺地域の方だけでなく遠方から来られる方にも親しまれています。
今回は、建て替えたばかりの社殿をはじめとする神社の魅力や特徴、そしてこの神社の思いについて宮司様に詳しくお話をお聞きしました。
鳥飼八幡宮とは

創建は約1800年前と言われる鳥飼八幡宮。長い時間の中には数えきれないほどの出来事がありましたが、その全てを見守ってきました。常に時代は移り変わり、鳥飼八幡宮も一度場所を移っていますが、受け継がれてきた思いは変わりません。
時代は令和となり、インターネットの進化はもちろん、AI技術の進歩やSNSの影響はとても大きくなりました。そんな時代にあって神社はどうあるべきか。神社としてできることは何かを考え、参拝に訪れる方を気持ちよくお迎えしたい、というおもてなしの気持ちで日々奉仕されています。それは、車いすやベビーカーを利用する方でも訪れやすいように境内を整えることでもあり、神社職員の顔が見えるような試みを実施し、参拝者との距離を縮めることでもあります。
「誰もが訪れやすい神社にしたい」その思いが叶えた現在の鳥飼八幡宮のあり方は、非常に多くの方から喜ばれています。境内には子どもたちのために造られたフォトスタジオや保育園も隣接し、日々賑やかな声が飛び交う、とても明るく未来を見つめている神社です。
【鳥飼八幡宮 特別インタビュー】

九州最大の繁華街である博多天神から約5㎞。福岡の観光名所が付近に揃う地に鳥飼八幡宮はあります。神社では「鳥フェス」や九州場所に合わせた「赤ちゃん土俵入り」など、他の神社ではされていないような行事が数多く行われています。七五三の際には、神社内で着物の着付けや写真撮影ができ、地域の方にはとても好評です。
1000年後に訪れる方にも、今と同じ心地よさを。そんな思いを持ち続け、古くから受け継がれてきた思いも大切にしながら、10年後、100年後、1000年後の神社の姿に思いを馳せています。
過去からの思いを継ぐ。205年ぶりに生まれ変わった拝殿。

編集部今回は福岡市中央区今川に鎮座されている、鳥飼八幡宮様へのインタビューです。こちらは福岡市の中心部の町とお見受けしますが、周辺はどういった環境でしょうか。



まず、福岡の中心は博多天神と呼ばれる場所で、こちらは天神から西へ5~6㎞ほどの場所です。都会の中心にある神社で、付近には福岡ペイペイドームや福岡城、福岡タワーなどこの地の観光名所が揃っています。そういった中心地のすぐそばにある町中の神社です。



では、神社の歴史についてお伺いします。創建時期はおおよそ分かっているのでしょうか。



約1800年前とされています。江戸時代に黒田長政公が福岡へ来られ、ご自身のお城、そして自身の別邸を建てるということでその別邸を建てる場所として鳥飼八幡宮の境内地が関係地として用いられました。長政公は福岡の町そのものを作った人物としても知られ、町づくりの一環としてお城や別邸を建てたと思われます。また、海からの敵を守るという意味で、福岡では多くの寺社を海沿いに集めるという町づくりも行われました。鳥飼八幡宮も鳥飼という場所から現在の今川に遷座しました。



一度場所を移られているんですね。長政公は福岡と非常に縁が深い方だとお聞きしますが、こちらの神社とも深い関わりがあるんですね。では、こちらの神社の特徴や魅力的な部分についてお聞かせください。



まずは、新しくなった社殿です。こちらは4年前に建て替えたもので、どこにもない唯一無二のしつらえを施した社殿ですのでぜひご覧いただきたいです。以前の社殿は長政公が建てられたものに改築を重ねておりましたが、205年ぶりに建て替えを行い、新しくなりました。また、境内には参道を含めてさまざまな木々や四季折々の植栽があります。四季を感じられる場所として皆さんには楽しんでいただきたいです。



拝殿のお話も出ましたが、具体的にはどういた特徴のある社殿なのでしょうか。



まず、10本の柱で支えられている点が特徴的です。10本の石の柱を中心に建てられた拝殿で、使用している石は磐座(いわくら)という巨石で、古代より人々が畏怖の念を感じ巨石を中心に信仰が生まれたという場所を表現しています。イギリスにあるストーンヘンジなど、そういった石の遺跡は日本にもたくさんあります。古代の方々の原点となる場所を表現したのがこの拝殿です。







ホームページでも拝殿建て替えのページを拝見しました。確かにとても幻想的で立派な建物ですね。



現代的な造りだと思われがちですが、実際には古の最も古い信仰の姿を表したものなんです。またこの石は岡山県の犬島という場所から船で運んできたもので、江戸城や大阪城にも使用されたものです。石の高さは約7~8m、重さはだいたい20tを切るくらいです。また、当社の社殿のコンセプトとして「地球に優しく」というものがあります。これは神道の信仰概念に通じるものでもあり、全て土に還る素材で作っています。外壁は萱を、内壁には漆喰を使い、床は煉瓦造りで、全ていつか地球に還る素材です。





新しく建て替えられた社殿なではの考え方ですね。



その考えの中心にあったのは、1000年後にこの神社を訪れる方にも、こういう考えの中で作られたことを感じてほしいという思いです。



実際に現時点でこの神社は1000年以上続いているわけですから、この先も1000年続く可能性は充分ありますよね。



ちなみに本殿には奈良県吉野の檜を使用しています。世界中でとれる檜で最も良い檜とされ、切った木の一部を分けていただき当社の本殿は造られました。約200~300年の歴史があると言われている木材です。なぜこの檜を選んだかと言うと、吉野の檜はあまり日光を当てずに大きく育てないのが特徴です。その分、時が経過しても太く育たず幹が締まった強い檜になります。200~300年の間枝打ちをして、節を作らずに育てられたもので、それが現在の檜の社殿です。職人の知恵と努力、そしてそれぞれの思いとこれまでのストーリーが詰まっているのがこの神社です。



これまでのストーリーと思いを受け継いでいる建物なんですね。



ここにはこの素材を使って、この木はここに使うのがいいのではないかなど、たくさん思考を巡らせました。遷宮というのは、日本人の英知と知恵を集めて行われるものです。その姿をそこに表現しているのが、当社の遷宮の姿であり、その表現の象徴としてあるのがこの社殿です。



建て替えたことで地域の方や訪れる方からも嬉しい声はあるのでしょうか。



物事が新しくなる時には賛否があるものですが、このストーリーをご存知の方には賛同していただいています。また、当社の参道は世の中のあり方に合わせて作ろうというのがコンセプトです。現代は高齢化社会でお年寄りが多いですよね。ですので、当社の参道には階段や坂道をなくし、車いすやベビーカーの方も物理的にお参りが叶うようにという思いで作りました。そこに共感していただき「ありがたいね」と言っていただけることも多いんです。



これからの時代はさまざまな方が訪れる時代になるでしょうから、全ての人が訪れやすい場所に整備することはとても大切ですね。



残せるものは残しつつ、現代の社会の在り方に合わせて整えるというのが最善策だと思っています。
神社と神主をもっと身近に。人々との交流を絶やさない神社。





では、神社でのイベントなどについてもお聞きします。インスタグラムを拝見すると、非常にたくさんのイベントが行われているようですね。



神社の催しとしては、毎月マルシェを開催しています。







また、年に4回『縁結びの宴』という男女の出会いの場を提供しています。他には、季節毎の例大祭に合わせての奉納行事や、パレード、鳥フェスというお祭りも開催しています。そういったものに地域の方にご参加いただき、神社とも交流を深めています。







また、他の行事に合わせたイベントなども開催しており、相撲の九州場所が開催されている時期には、当社でも赤ちゃんの土俵入りを行っています。神社内での古事記の読み聞かせなど、当社ならではのイベントも開催しています。







とても面白そうですね!お話を聞いているだけでとてもワクワクします!赤ちゃんの土俵入り、ホームページでお写真を拝見しましたが、とっても可愛いですね!幸せが溢れている感じが伝わってきます!



当社は九重部屋と約50年の付き合いがあり、この赤ちゃん土俵入りは大人気の催しです。毎年2日間でおおよそ500~600組近く、来られる人数で言うと、2500~3000人ほどが来られます。









そんなに来られるんですか!?たった2日間でその人数は…すごいですね!



やはり人家族、ご両親+祖父母の方もいらっしゃることが多いので、7~8人ほどで来られますのでそれくらいの人数になるのですが、県外から来られる方も多く、福岡に宿泊して当社の催しに参加するという流れがあります。その日に合わせてフェスも開催しており飲食もできますので、特にお孫さんの準備中に待機されている祖父母の皆さんに喜ばれています。



お孫さんのこの姿、ご両親はもちろんですがおじいちゃん・おばあちゃんも見られたら本当に嬉しいでしょうね!フェスでもたくさんのお店が出店されているようで、とても賑やかですね。





縁日も楽しんでいただけるので、お子さんにも喜ばれています。本当に地域の方に喜んでいただけることをしたい、そう思っている神社です。どの神社でも行われている節分や、大祓いの茅の輪神事もありますが、これまでの神社にはあまりなかった行事を開催し、神社に興味を持っていなかった方にも振り向いていただけるよう工夫しています。



「インスタライブ」というものも行われているようですが、こちらはどういった内容でしょうか。



これは神社職員が2人コンビで行っているもので、インスタグラムのインスタライブで当社についての配信をしたり、日常の神職の姿を発信するというものです。より当社神職の顔が見えやすくなり、こういう人たちが奉仕しているんだ、こんな仕事をしているんだということを知ってもらうために行っています。



確かに、神社にお参りはするけれど神主さんたちが一体どんな仕事をしているのかは分からない部分もありますので、SNSで発信していただけるとありがたいですね。特に若い世代の人たちにとっては情報に触れやすいと思います。



神社へ来られた方にも、気軽に職員に声をかけてもらいたいです。当社は参拝者とまずご挨拶をして、そこから交流が生まれればいいなという思いで奉仕しています。皆さん、神社ってどんな所だろうとは思っているけれど、なかなか話しかけられないという方がほとんどだと思うので、ぜひこういったコンテンツを通して気さくに話しかけていただければ嬉しいです。いわば、参拝される方へのおもてなしのような気持で行っています。さまざまな方のニーズにお応えできるよう頑張っています。



こういった配信を見られれば、きっと職員の方との距離が近くなりますし、話しかけやすくなりますね。現在、神社の職員様は何名ほどいらっしゃるのでしょうか。



現在13名ほどです。当社はフォトスタジオも併設していますので神社職員だけではなくそういった関連施設のスタッフもいることがあります。フォトスタジオの運営自体は関連企業にお任せしていますが、そういった施設がすぐそばにあることはとても喜ばれています。フォトスタジオは子どもたちに特化した造りになっており、七五三の着物レンタルや着付けも行っています。周辺の著名人なども多く利用されています。









とてもありがたいですね!ホームページでは保育園も併設されているとお聞きしました。とても素晴らしい環境ですね!保護者の方にとってはとても安心できる環境だと思います。



特に町中ではなかなか自然に触れられる環境が少ないので、特にそういった四季の自然に触れられる環境があることは利用者の皆さんにも好評です。他に納骨堂もあり、生きている間だけの関わりではなく、亡くなられた後も縁が続いていく神社です。
日本初のメタバース神社も実現。3本の御神木が見守り、心地よい境内。



ホームページではメタバース神社もされていると拝見しました。



これからの時代はやはり、リアルとオンラインの融合は必須業務だと思っています。リアルであまり活動ができない方も多い世の中ですので、そういった方々にもオンラインで参拝していただければという思いで作りました。やはり当社のコンセプトとして「物理的な困難をなくしたい」という思いがありますので、メタバースであればPCやスマホでお参りが実現します。直接の参拝が難しい方にもおもてなしができればと思っています。作ったのは4年ほど前ですが、宗教法人でそういったことを行った神社は当社が初めてだったんです。またペット供養も行っており、火葬から納骨までお任せいただけます。当社は「鳥飼」という名前で動物にまつわる神社でもありますので、大切な家族であるペットもしっかりとお見送りさせていただきます。



そうなんですね!日本初の試みを行った神社ということですね。婚活にメタバース、ペット供養など本当に色々なことを実践されているんですね。御朱印も多種類を頒布されているようで、とても魅力的です!



これは当社ならではの季節毎の御朱印で、いつ来ていただいても楽しんでもらえるよう、さまざまな種類の御朱印を頒布しています。御朱印は神職が一からデザインをして、手彫りで作っています。月替わりで新しい御朱印を出しているのですが、神社内でこれだけの作業をしているのは、恐らく当社くらいではないかと思います。本当に当社には優秀な職員が集まっていますので、こうしたことも実現可能なんです。SNSのフォロワーが4000人に達した際の記念御朱印は箔押しで作りました。







インスタグラムにアップされているそれぞれの神社のお写真、どれもこれも素敵ですが、こちらは神社職員の方が撮られているのでしょうか。



職員が撮影したものです。これまでいくつも写真を撮ってきましたので、どの場所をどの角度から撮影すればいい写真が撮れるか、というのも段々分かってきて、素人ではありますが、楽しんで撮っています。11月中旬~12月初旬は特に紅葉の見頃です。都会の中でこれだけの紅葉を見られる場所もそう多くはないですし、当社は毎日人が押し寄せるという神社ではないので、ゆっくりと見ていただけるのが魅力です。また、境内には御神木が3本あります。千年蘇鉄と呼ばれるソテツの木、イチョウの木、夫婦楠の3本がありいずれもとても樹齢の長い木です。特に千年蘇鉄は福岡市内有数の古い木で、市内で最大・最古のソテツと言われています。あえて天然記念物への登録もしていないので、参拝された方は自由に触っていただけます。









どの木もとても迫力がありますね!本当に魅力がいっぱいある神社で、全国の皆さんに知っていただきたいです!ちなみに、先ほどお話にも出た、ホームページ内の拝殿建て替えのページにて雪景色を拝見しましたが、こちらの地域は雪が降るのでしょうか。



そんなに降ることはないのですが、昨年の遷宮のお祭りの際は本当に珍しく福岡市内で吹雪でした。ですが、雪が降ったり雷雨になるということは、神様が喜ばれているからだとも言われます。とてもありがたいことで、雷も一般的には「雷」という字を使いますが、神様が鳴ると書いて「神鳴」と表現することもあります。自然の現象というのは、神様が何かを示されているということだと思っています。



自然現象というのは、その全てに何か意味があって起きていることだと私も思います。雷で見られる稲妻は稲作にも関連があると言われますし、古来より悪いことではなく良いこととして捉えられてきたのかもしれませんね。



不思議なことですが、当社の節目の日は雨や雪が多いんです(笑)。昨年も福岡市内で吹雪きだったのは、その遷宮の日だけでした。雪が降った日は他にもありますが吹雪になったのはその日だけで、最も寒い日でした。来られる方は大変だったと思いますが、我々は神事にとても集中していたので、寒さに気づきませんでした(笑)。205年ぶりの遷座でしたから私たちも特別な思いで行わせていただきました。



そんなに寒い日だったにも関わらず、寒さに気づかないほど集中されていたんですね!吹雪だったのもその日だけということですが、それだけ神様が喜ばれていたのかもしれませんね。世の中で起こる事象には、科学だけでは説明できないこともあると思います。人々の思いや神様の思いなど、強い思いが動かす現象もあるのかもしれませんね。
今後の展望


昨年12月に新しい神楽殿の上棟祭を行いました。春頃には外構工事を終える予定で、この神楽殿で行われる行事も、神社の新しい試みとして皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです。この神楽殿は、日本古来の数寄屋造という建築様式で造り、これは釘を使わずに宮大工が木をパズルのように組み作り上げていくという技法です。釘は経年と共に錆が出てきますが、良い材木の木は1000年でも保つことができます。これは奈良の東大寺など有名な建築物にも採用されている技法で、未来を見据えている当社だからこそ取り入れられた技法です。




また、この春までに弁財天様のお社を作ることも目標にしています。これまで恵比寿神社に合祀されていましたが、合祀ではなくお社を建てようということで建設を考えています。これも、建てるというよりは「掘る」というイメージで、石造りのものを地下に作り、地上から地下へ下りてそちらへ参拝するような作りになる予定です。
インタビューまとめ
福岡と言えば九州屈指の都市として全国から人々が押し寄せる観光地です。その中心である中央区は、アクセスの利便性に優れ多くの観光名所に触れられるとても魅力的なエリアです。その中心にあって、昔から変わらず活気を見せてくれるのがこの鳥飼八幡宮なのだと思います。
赤ちゃん土俵入りに訪れるご家族の数には驚かされましたし、インスタグラムにはさまざまな行事のPR投稿が非常に多く見られました。そこから伝わってくるのは、いつ訪れてもたのしい神社であるということ、そして地域の方からとても親しまれ愛されている神社だということです。
この先、国の人口が減る中でもしっかりと今と同じ姿を保ち続けたい。これまで先人たちが繋いできてくれた神社を守りたい。宮司様からはそんな思いが伝わってきました。これからの未来にも、地域を愛するこの神社で、多くの方が憩いの時を過ごせることを心から願っています。
鳥飼八幡宮
住所:〒810-0054 福岡市中央区今川2丁目1-17
TEL:092-741-7823
URL:https://hachimansama.jp/








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