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高円寺氷川神社・気象神社 国内唯一・天気を操る神を祀る、気象の神様。

氷川神社外観①の写真

人が操ることができないものの代表でもある天気。晴天、曇天、雨天、降雪など、数多くある気象現象はその全てを天のみが知るところであり、人間の力で操ることはできません。故に、昔から人々は空の様子を天に祈ってきました。てるてる坊主や、靴を飛ばしてその向きで天気を占う靴飛ばし、あるいは作物豊穣を願う雨乞いなど、祈る様式はいくつも存在しています。

技術が発達し天気予報を行えるようになった今でさえ、明日の天気は晴れが良いから晴れ、というように誰かの一存で決めることはできません。

天の神だけが知る天気。その天気の神をお祀りする日本で唯一の神社が、気象神社です。東京・高円寺にある高円寺氷川神社の中にお祀りされ、日々多くの方が天気に関する御祈願に訪れています。

今回は、そんな日本で唯一無二の神社で自身も気象予報士の資格を保有し、神社で禰宜(ねぎ)を務められている方にお話を伺いました。魅力あふれる神社、そして高円寺の魅力についてたっぷりと語っていただきました。

目次

高円寺氷川神社・気象神社とは

氷川神社外観②

高円寺氷川神社の歴史は、正式な創建時期は不明であるものの、源頼朝の奥州征伐時に、一度村を離れた農民であった家臣が再び農村へ帰り、埼玉県大宮の氷川神社から神様を勧請し社殿を建立したと言われています。その後明治には村社となり、昭和の戦火にて社殿を焼失。昭和46年に現在の社殿である鉄骨造の社殿が再建されました。

一方の気象神社は戦時中に陸軍気象部内に造られ、戦後の神社解体を免れ、高円寺氷川神社の境内に遷座し今年81周年を迎えました。全国でも唯一の天気の神様として多くの方に知られ、アニメ映画『天気の子』にも登場する有名な神社となりました。

結婚式や運動会、野外音楽フェスや花火大会など、空の晴天を願う人々が多く訪れその御利益は広く知られています。神社内では気象予報士試験合格のための塾も開講され、気象予報士を目指す方が数多く集っています。

【高円寺氷川神社・気象神社 特別インタビュー】

気象神社①

関東を中心に日本に多くある氷川神社。そして、国内唯一の気象神社。天気に関する御祈願はもちろん、気象予報士試験の合格祈願や商売繁盛を願う人など、さまざまな御利益を求めて多数の参拝者が訪れています。

神社そのものの魅力はもちろん、それだけでなく高円寺という町もまた、魅力に溢れた活気ある町です。東京四大祭りにも数えられる有名な阿波おどりや、お天気フェスなど神社を中心として町全体を盛り上げようという気風を感じられます。

人々の熱気を肌で感じられる町、高円寺にある高円寺氷川神社・気象神社の見どころを詳しくお届けします。

全国で“ここだけ”の気象神社。変わらない人々の天への祈り。

気象神社②の写真
編集部

本日は高円寺氷川神社・気象神社様へのインタビューです。高円寺氷川神社の中に気象神社のお社があるという認識でよろしいでしょうか。

禰宜

そうです。神社の中にある神社を指す言葉として「末社(まっしゃ)」という言葉があるのですが、正式には気象神社は高円寺氷川神社の末社としてお祀りされています。ですが、その表現では少し堅苦しく感じられるため、高円寺氷川神社内にある気象神社という認識で問題ありません。

編集部

では、こちらの神社の歴史や由緒についてお聞きできますか。

禰宜

気象神社は今年で創建から81周年を迎えます。全国に数ある神社の中では歴史は浅い神社です。気象神社ができた簡単な由緒をお話します。元々ここは高円寺という町で、神社は駅の南口に鎮座しています。現在、高円寺の北に杉並区立馬橋小学校、馬橋公園という大きな場所が2つあるのですが、戦時中はそこに大日本帝国陸軍気象部という本部がありました。当時戦争の作成を立てる際に天気予報は大事な要素の一つで、晴れの場合・雨の場合それぞれの作戦を考えていました。当時の科学的根拠に基づいて天気予報が行われていましたが、最後は人々の心の拠り所として小さな祠のような神社が本部台に建てられました。それが81年前です。そして戦争が終わり、神社創建から4年後にアメリカ軍による神社解体の動きがありました。ただ、陸軍気象部自体は調査漏れがあったのか気象神社はその解体の対象外となり、壊されずに残りました。陸軍気象部は終戦後に解散となりましたが、現宮司の祖父の代に氷川神社の中に場所があるから、気象神社を持ってこようということになり、現在の場所に遷座しました。その後老朽化も進んだため、平成14年にお社を新しくして再建立したのが現在の気象神社です。現在のお社は二代目ということになります。以上が、気象神社の簡単な由緒になります。

編集部

日本唯一の気象神社だと拝見しました。天気の神様ということですが、天気は全ての人に平等に訪れる、それだけに日本で一番身近な神社でありたいとホームページで拝見しました。おっしゃるとおり、天気は絶対に人が左右できるものではないですから、それだけに晴れてほしい時や、逆に少し曇ってほしいなという時も天に祈るしかありませんね。

禰宜

そうですね。人間の力で動かせないけれど生きていく上ではとても重要な要素なので、多くの方が御祈願に訪れてくださいます。

編集部

ご祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)という神様ですね。こちらは知恵の神様とも言われているそうですね。

禰宜

現在は天気の神様として知られていますが、『古事記』や『日本書紀』では知恵の神様として記載されています。なぜ知恵の神様になったかと言うと、昔の岩戸の話に由来します。日本人の祖先は伊勢神宮の天照大御神です。天照大御神は女性の太陽神ですが、その弟である素戔嗚尊(すさのおのみこと)は喧嘩っ早く荒ぶる神として知られていました。素戔嗚尊は氷川神社の神様でもありますが、天照大御神と素戔嗚尊は仲が悪く、いつも喧嘩しており、そのうち天照大御神はいじめられて鬱のような状態になってしまったんです。そして、岩戸の穴に入って隠れてしまい、世の中から太陽が消えてしまいまいた。これは大変なことになったと、八百万の神々が集まり、天照大御神を穴から出す作戦会議を行いました。そして八意思兼命が知恵を絞り、派手な宴会を行いました。歌を歌い踊り、騒いでいると天照大御神が何をしているのかと穴から顔を覗かせそれを他の神々が引っ張り出したそうです。そういった作戦を考えたため、知恵の神様と言われるようになりました。そして、無事に世の中に太陽を取り戻すことができたため、天気の神様とも言われるようになりました。八意思兼命はその名に「八」が使われていますが、これは「晴・雨・雪・風・雷・霧・霜・曇」の8つの気象要素を司ることができると言われることに所以しています。

編集部

そういった所以があるのですね。とても納得のいくお話です。

大ヒット映画の聖地にも。ここならではの多数の晴天祈願。

気象神社鳥居の写真
編集部

気象の神様ということですが、そういった神社ならではのエピソードはありますか。

禰宜

気象予報士の試験を目指す方は昔から多く御祈願に来られていました。知恵の神様でもあるため、試験の合格祈願でも参拝されています。気象予報士の試験が始まったのは今から31年前なのですが、それから予報士を目指す方が来られ、特にこの6~7年ほどはとても参拝者が増えました。2019年に公開された新海誠監督のアニメーション映画『天気の子』にはこの気象神社も登場するのですが、公開当時はアジア圏からの海外からの観光客の方も非常に多かったです。その後コロナが流行してしまいましたが、コロナが落ち着いてきて、現在はまた海外からの参拝者も多くなっています。週末はやはりお休みの方が多いので日本人の方が多く見えられますが、平日は海外からの方が多いように思います。

編集部

『天気の子』にも登場されているんですね!大ヒットした映画でしたから、聖地巡りとしてファンの方はもちろん、観に行かれた方は来られるでしょうね。

禰宜

他に特徴としては、結婚式を控えた若い男女のカップルがよく参拝に見えられます。やはり式当日は晴れてほしいですから、晴れを祈願して来られます。当社の絵馬は一般的な神社の絵馬と形が異なっており、下駄型の絵馬なのですがこれで天気を占います。幼い頃にやられたことがあるかもしれませんが、靴を飛ばして天気を占うという遊びがありますよね。それを下駄絵馬で行っていただくのですが、週末は本当に多くの方がされています。

編集部

なるほど!結婚式は外に出る場面もありますし、やはり晴れてほしいですよね。他にはこの神社ならではの特徴的な参拝はありますか。

禰宜

アウトドア関係で天気を祈願される方は多いです。運動会や旅行、スポーツの行事などあらゆる場面で天気は重要ですので、そういった予定がある前にご参拝される方は多いと思います。また、企業の方もいらっしゃいます。週に3~4回ほど晴天祈願という正式参拝を行っているのですが、全国からお天気に関するお願い事でさまざまな企業の方が来られます。特に多いのが、プロ野球チーム関係者です。阪神タイガースの本拠地である甲子園球場のように屋根のない球場を本拠地にしているチームは雨が降ると試合ができませんので、ドーム球場ではないチームの関係者は御祈願に来られます。関東では横浜ベイスターズの関係者の方がよく来られています。他には東京ディズニーランドを運営しているオリエンタルランドの方もよく来られています。地方でもパレードを行われているのですが、パレードの日が晴れるようにと御祈願されていきます。

編集部

雨が降ると困る場面、考えてみると本当にたくさんありますね!

禰宜

まだあります。野外の音楽フェスやライブをされる方の関係者も参拝に来られます。皆さんがご存知の方ですと、UVERworldさんやONE OK ROCKさん、気志團さんの関係者などが来られたことがあります。UVERworldさんは何とご本人さんが直接御祈願に来られました。花火の季節には全国各地の花火大会実行員会の方が来られます。とくに有名なのは、年3回春・夏・秋に行われている秋田・大曲の花火大会です。あの花火大会は技術を競う花火大会でもあるため、大会の前には必ず御祈願に来られます。そのおかげもあってか、御祈願に来られた際の大会は全て晴れているようです。

編集部

すごいですね!やはりご利益があるのかもしれないですね。

禰宜

他にはエアコンメーカーの方や、少ないですがスノータイヤメーカー、スキー場の運営会社の方も来られることがあります。先日珍しかったのは、ロケット製造に関わられている三菱重工業の宇宙事業部の方が来られたことです。鹿児島県の種子島宇宙センターではロケットの打ち上げを行っていますが、2025年2月2日に行われる予定だった打ち上げを何としてもその日に成功させたいということで、ロケットを飛ばすのに最適な天気となるようお願いされていました。そういった時には、ただ単に晴天を祈るだけでなく気象条件満足祈願と言って、風力の強さなどロケット打ち上げに必要な気象条件を祈られていました。あるいはそういった行事などには関係なく、近年多くの人が体感している異常気象や災害への御祈願、農作物が豊作になるようにとJAの方が来られたこともあります。

編集部

日本で唯一というだけあり、本当に全国からさまざまな方が訪れているんですね。

禰宜

ありがたいことに御祈願いただいています。ですが、その結果良い天気となることも多く、結婚式では不思議な声も届いています。その直前まで雨が降っていたけれど、本当に式になると晴れたという方や、大きな範囲での天気予報では一日雨予報だったけれど、その町だけ晴れたということもあったようで、神様のお力が働いているのかと思います。気象神社自体は祠のような感じで小さいので晴天祈願も外で行います。雨が降ると中止にしなければいけませんが、私がこの神社へ来てから6年ほど、1300回ほど行っていますがこれまでに大雨となったことはなく一度も中止になっていないんです。降っていたけれど御祈願の時間になると小雨になったり、止んだりということがあり、本当に素晴らしいお力だと感じています。

編集部

天気は生活と切り離せないものであり、人間の力の及ばないところですから、皆さん神様のお力を借りたいと思われるのでしょうね。本当に素敵な神社です。また、アクセスもとても便利なようですね。

禰宜

東京駅から近いということもありますが、何より高円寺駅のすぐ駅前にあるというのが珍しいです。もちろん都内にはいくつもの神社がありますが、駅前の神社というのはなかなかありません。高円寺はメディアなどでは若者の町と称されることも多く、安い居酒屋や不動産屋、古着屋も多いんです。商店街も12の商店街が放射状に広がっていて、とても賑わいのある町です。そういった中でたまたまこの神社を見つけてふらっと立ち寄られて行く方もいて、週末は本当に賑やかです。

気象予報士合格を目指す塾も開講。愛された猫“ミケさん”の記念日も。

編集部

では、これまでにもこの神社ならではのエピソードをたくさんお聞きしてきましたが、禰宜様自ら何か活動されていることはありますか。

禰宜

個人的な活動の話になりますが、私は高円寺を「お天気の町」にしたいと思い活動しています。その一環として高円寺から一人でも多くの気象予報士を輩出しようと、現在気象予報士の塾を開講しています。

編集部

それはすごいですね!ご自身も気象予報士の資格をお持ちということでしょうか。

禰宜

そうです。今から4年ほど前に取得しました。塾は今から3年ほど前に開講し、現在までに50人ほどの気象予報士試験合格者をここから輩出しています。

編集部

50人ですか!?それはすごい実績ですね!

禰宜

中には青森や福岡などの遠方から受けに来てくれる方もいます。また、境内に気象観測台があるのもこの神社だけかと思います。有名なアメダスは全国に1300箇所ほどあるのですが、それなりに場所を取るものなんです。そこで気象神社では「POTEKA(ポテカ)」という小さな気象観測機を境内に設置しています。これは、気象庁などのツール製造を担っている明星電気さんというメーカーさんが開発したもので、ミニアメダスとも呼ばれています。1m四方ほどの大きさで設置できるため、手軽に導入できるということで自治体を中心に小学校など各地で導入が広まっているようです。当社でもそのPOTEKAを設置し、気象神社での気象観測を絶えず行っています。気象神社のホームページには1分ごとに気温や風力などの情報も更新しており、Xアカウントでも1日8回発表しています。この8回というのは、気象庁が定めている1日を8つに分けた時間帯に従っています。

編集部

1日は8つに分かれるんですね。具体的にはどういった区切り方でしょうか。

禰宜

朝、昼前、昼過ぎ、夕方、夜のはじめ頃、夜遅く、未明、明け方という分かれ方です。他には鳥居の横に大きな電子表示板を作り、そこでも1分ごとに観測機の情報を発表しています。それはとても目立つもので、神社の見どころの一つと言えます。夏場ですと、暑さ指数や湿度など少しマニアックな情報も発信しています。その表示板の前で記念写真を撮られる方も多いです。

電子表示板の写真
編集部

本当にここに来れば、天気に関するさまざまな情報が得られるんですね!

禰宜

また、天気とは関係ないのですが20年近く気象神社に住んでいた三毛猫のミケさんという猫がいました。2017年に亡くなってしまったのですが、気象神社のお供えの水を飲んだり、神様の扉の前で日向ぼっこをしたり、晴天祈願も見守ってくれていました。私たちで「ミケさん」という名前を付けて可愛がっていたのですが、2017年の12月3日に神社の前で手を合わせる格好で亡くなっていたんです。神社関係者はもちろん、参拝される方からも愛されていた猫ちゃんでしたので、日本記念日協会に申請をして12月3日を記念日にしてもらいました。12月3日の「1、2、3」の語呂合わせで「いつも見てるよ、空から」という記念日です。「いつも」の「いつを1、2」、「見てるよ」の「見」を「3」に例えています。その後境内にはミケさんの石像も作り、猫好きの方もたくさん来られます。

編集部

ホームページでミケさんの石像を拝見していますが、とても凛々しいお顔ですね。素敵な猫ちゃんです。

禰宜

当社で頒布している「みまもり」という御守りはミケさんにちなんだものです。御守り関係だと、他にてるてる坊主型の8色の「てるてるみくじ」というものがあります。御祭神の八意思兼命の「八」にあやかり8色作り、何色が出るか分からないというものです。中にはおみくじが入っているのですが、内容は大吉などのものではなく「快晴」や「雷」「霧」「曇のち晴れ」など天気に関するもので全部で50種類以上あります。それはとても人気で、皆さんご自分でてるてる坊主にペンで顔を描かれたり、境内に飾る所もありますのでそこへ飾られる方もいれば、鞄などに付けるために持ち替えられる方もいます。たまに街中でリュックなどに付けられている方を見かけることがあります。

編集部

この御守りはとても可愛いですね!アクセサリーとして身に着けたいです。本当に全国で唯一の神社さんであるが故に、ここならではのエピソードがたくさんでお聞きしていてとても楽しいです!

祭りで賑わう町・高円寺。全国的にも有名な高円寺阿波おどり。

編集部

氷川神社という神社は多くあると思いますが、その名前の由来はご存知でしょうか。

禰宜

氷川神社の本社は埼玉県大宮市にあります。埼玉はかつて武蔵国と呼ばれ、埼玉・東京だけで300社あります。元々は島根県の出雲で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が大暴れしていたところを素戔嗚尊が退治したという伝承が元になっています。その戦いがあった場所が、今でもある斐伊川(ひいかわ)という河で、源頼朝が「素戔嗚尊が八岐大蛇を退治した縁起の良い場所だから」ということで、素戔嗚尊をご祭神としてお祀りする神社の名前に「ひいかわ」と名づけ、段々と「氷川」になったのではないかと言われています。諸説あるため定かではありませんが、氷川神社の名前の由来の一つと言えます。

編集部

なるほど。そういう由来があるんですね。では、高円寺氷川神社の社殿において建築様式で珍しい点はありますか。

禰宜

創建当時の木造の社殿は東京大空襲で全焼してしまったため、そこからは燃えないようにと鉄筋製の社殿になりました。ですので、一見するとモダンな印象を受けるのが特徴かと思います。造りは伊勢神宮と同じ神明造で、鳥居が真っ黒な点も特徴的です。その黒い鳥居もスタイリッシュでモダンな雰囲気を感じられてとても良いです。なぜ真っ黒にしたのか理由は分かっていませんが、建築の特徴はそういった点かと思います。

黒い鳥居の写真
編集部

黒い鳥居、とても迫力があっていいですね!では、この神社での行事や地域の方との交流についてお聞きできますか。

禰宜

まずは先ほど話したミケさんの命日に行っている高円寺お天気フェスです。これは12月の第1日曜日に行われる行事です。また、高円寺はとてもお祭りが多い地域で、四季を通してとても大きなお祭りがあります。夏の阿波おどりは東京三大祭りにも数えられており、100万人ほどの人出があります。踊る人だけでも1万人ほど集まり、本当に大きなお祭りです。

編集部

そういった季節ごとのお祭りは遠方から来られる方も多いのでしょうか。

禰宜

春はびっくり大道芸と言って、パフォーマンスをされる方が多く集まり、10万~20万人ほどの方が見に来られます。冬は高円寺の町中で落語や寄席などを1ヶ月近く行っており、お祭りが大好きな地域です。

編集部

いつ来ても人がたくさんで、賑やかな良い町ですね。

禰宜

ちなみに、現在この地域の方は氷川神社が阿波おどりの日に例大祭を行っていると思われれていますが、実は逆で氷川神社のお祭りとして阿波おどりが始まったんです。

編集部

そうなんですか!?詳しくお聞きできますか。

禰宜

若い世代の方には全く知られていませんが、阿波おどりを始めた当時、高円寺には看板となるお祭りがありませんでした。ですが、お隣の阿佐ヶ谷では七夕祭りなど有名なお祭りがあり、それに対抗して何かやりたいと考えました。そして、氷川神社の青年部が「高円寺ばか踊り」というものを始めました。そして、後々阿波おどりの要素を入れるために徳島から人を呼び教えてもらい、段々と阿波おどりになっていったようです。そして段々と踊り子も増えてくるのですが、神社の境内は狭く人が増えても場所が無くなってきたため、外でやりたいと考えるようになります。ですが、警察からの道路使用許可も厳しくなかなか許可が下りなかったため、当社の先代宮司が高円寺の駅前の大きな通りを「この行事を神社の行事にするから、大きな通りを使いたい」と申請したところ、許可が下り現在に至ります。現在、阿波おどりは8月の最終週末に行い、踊り子は1万人ほどです。阿波おどりの各チームのことを「連(れん)」と言うのですが、おそらく100ほどの連があり、その中の地元の連を中心に2つの連が当社宮司の前で奉納踊りをしてから町中へ出発していきます。

編集部

1つの行事にもしっかりとした所以と歴史があるんですね。

禰宜

他には、気象神社のお祭りを6月に行います。これは国が定めた気象記念日である6月1日に由来するもので、その日に気象庁ができ日本で初めて天気予報がされた日です。今年は150周年にあたる年で、6月に執り行いました。

編集部

たくさんの行事でとてもお忙しいと思いますが、活気があって楽しい神社、町ですね!

今後の展望

これからも氏子地域である高円寺の町やそこに暮らす人々に寄り添う神社でありたいと願っています。気象神社には氏子地域という概念がありませんが、国内外の天気を御祈願される方に向けて、心の拠り所となる場所でありたいと思います。

近年多発する異常気象や災害などを少しでも和らげてほしいという願いを一人でも多くの方に祈っていただける場所であり続けたいと思います。

インタビューまとめ

お話いただいた禰宜様は、神社に詳しくない人にも分かるように一つひとつ丁寧にお話をいただき、この神社ができた背景や歴史がとてもよく分かりました。特に気象神社については興味を引かれる点が多く、そのご利益や晴天祈願はもちろん、境内の様子や頒布されている御守りについても心から求めたいと思えるものが多くありました。

どんな時代も人々の生活を切り離すことができない天気。禰宜様のお話にもあったようなアウトドア関係のイベント、ドラマや映画の撮影、スポーツイベントなどいかなる時においても、人は空の顔色を窺っています。それは日中だけに限らず、月や星を見るために必要な天気、美しい夕暮れを見るための天気など、数々の場面で天気を知ることは重要です。

この先も人々は空の様子を持ち得る限りの技術で予想し、その天気をどこまでも限りのない天に祈り続けるでしょう。

高円寺氷川神社・気象神社

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この記事を書いた人

ラボ編集部のアバター ラボ編集部 編集者・取材ライター

歴史と文化遺産に情熱を注ぐ29歳の編集者、山本さくらです。子どもが1人いる母として、家族との時間を大切にしながらも、文化遺産ラボの立ち上げメンバーとして、編集やインタビューを担当しています。旅行が大好きで、訪れる先では必ずその地域の文化遺産を訪問し、歴史の奥深さを体感しています。
文化遺産ラボを通じて、歴史や文化遺産の魅力をもっと多くの方に届けたいと日々奮闘中。歴史好きの方も、まだ触れていない方も、ぜひ一緒にこの旅を楽しみましょう!

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