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中野沼袋氷川神社 安産祈願などご利益多数。区内唯一の七福神に会える神社。

東京23区の一つである中野区。新宿や渋谷という多くの人々が集うエリアに隣接し、交通の便の良さは言うまでもありません。多くの商業施設だけでなく公園など緑豊かなゾーンもあり、子育てをする方にも人気のエリアとなっています。そんな中野区で沼袋駅からほど近い場所に位置する中野沼袋氷川神社。約700年という長い時間を見守ってきたこの神社では、中野区で唯一七福神をお祀りし多くの方が参拝に訪れています。

願いを掛けると叶うと言われる松の木の御神木や、豊かな植栽が訪れる人々を迎え、都心の神社でありながら境内に足を踏み入れればそれまでとは違った空気を感じることができます。この中野沼袋氷川神社はどんな神社であるのか、その魅力や特徴、神社での行事などについてご担当者様にお聞きしました。

目次

中野沼袋氷川神社とは

創建は南北朝時代とされ、素健司より安産・安産祈願の御利益があるとして、戌の日参りなどを中心に多くの方がその御利益を受けてきました。周辺の練馬区、新宿区、杉並区、多摩地区などはもちろんアクセスが良いロケーションにあるため、全国からの参拝者も多い神社です。

本殿前には「子育て狛犬」と呼ばれる狛犬があり、子どもを抱いてあやしている姿の珍しい狛犬です。この狛犬を3回撫でるとお産が軽くなるとも言われています。他にも安産祈願絵馬があり、安産祈願で参拝された方がご祈祷後に安産祈願絵馬を掛けられていきます。子育て狛犬と合わせて、無事に出産された方々の運気に触れられるお祈りスポットでもあります。また最近では、人気漫画である『東京卍リベンジャーズ』の原作に当神社が随所に描かれたことでコラボが実現し、公式コラボ御朱印帳などを数量限定で頒布するなど、若い方へ向けた新しい取り組みも積極的に行っています。

駅からもほど近い立地ですが、車でご来社される方にも便利なように参拝者用の無料駐車場が25台完備されており、さまざまな手段で来られる方への配慮がされている神社でもあります。年間を通して多くの神事が執り行われる場所でもあり、地域活性化の中心的存在としてこの町を見守り続けています。

【中野沼袋氷川神社 特別インタビュー】

境内には本殿だけでなく、病気平癒の神様として崇敬される天王社、五穀豊穣・商売繁盛の神様と言われる稲荷神社、火災や盗難除けの御利益を受けられる御嶽神などの摂社もあります。

また、神社正面にある大鳥居は訪れる人々を迎える神社の顔としてその姿を留め、裏参道にある大鳥居は東日本大震災時に倒壊の被害に遭いましたが、翌平成24年に再建立され、美しい姿を見せてくれます。

区内唯一、七福神を祀る。安産の御利益も多く受けられる神社。

編集部

本日は東京都中野区に位置されている中野沼袋氷川神社様へのインタビューです。まずは、こちらのご創建の由来などをお聞きできますか。

ご担当者様

当社は須佐之男命を御祭神として南北朝時代に創建されました。後村上天皇の正平元年に現在の埼玉県さいたま市に鎮座されている大宮氷川神社よりご分霊を頂き、この地でお祀りしたことをきっかけに創建されました。その歴史は約700年と言われ、都心の神社ではありますが、境内は豊かな緑に囲まれたとても穏やかな空間です。

編集部

ご祭神の須佐之男命について、どういった神様であるかお聞きできますか。

ご担当者様

須佐之男命は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の御子(子ども)であり、伊勢神宮の内宮にお祀りされている天照大御神(あまてらすおおみかみ)の弟にあたる神様です。とても気丈で逞しい神様であり、八岐大蛇(やまたのおろち)退治の神話において八岐大蛇を退治したと言われています。そして櫛稲田姫(くしなだひめ)をお妃に迎えられ、人々に農耕や狩猟などを教え、その暮らしを豊かにされた神様です。

編集部

こちらの神社は、中野区内で唯一七福神をお祀りしている神社だとお伺いしました。

ご担当者様

平成21年に天皇陛下御即位20年並びに天皇皇后両陛下御成婚50年記念として七福神を奉斎しました。七福神の礼拝ができるのは中野区内ではこの神社のみであり、区内だけでなく遠方からも参拝に訪れる方が大勢いらっしゃいます。七福神は福をもたらしてくれる七柱の神様であり、室町時代頃より幸運や金運を授けてくれる神様として信仰されてきました。

【七福神】

・毘沙門天…疫病・厄除け・知恵の神様

右手に持つ宝棒で怨敵(おんてき)を討ち、左手の宝塔で人々に福を与えるとされる仏教四天王の一人。多聞天(たもんてん)とも呼ばれ、知恵の神様として信仰されています。

・弁財天(べんざいてん)…芸能・金運・商売繁盛の神様

琵琶を持つ女性の神様。音楽や弁舌の神でもあり、後に財産の神としても信仰されるようになりました。

・大黒天(だいこくてん)…財宝・五穀豊穣の神様

有名な「打ち出の小槌」を持ち、この打ち出の小槌は無限の財宝を象徴すると同時に「槌」は「土」に通じることから五穀豊穣の神様としても信仰されています。

・恵比寿神(えびすしん)…商売繁盛・航海・漁業の神様

釣竿と鯛を持つ姿は「釣りして網せず」の精神を象徴していると言われ、先を見通して少しずつ竿で釣ることから、商売繁盛の神様とされています。

・布袋尊(ほていそん)…家庭円満・金運・福徳の神様

「泣いて暮らすも一生。笑って暮らすも一生。同じ暮らすなら笑って暮らせ」という楽天的とも取れる生き方が、「至福」の象徴とされています。

・福禄寿(ふくろくじゅ)…幸福・富・長寿の神様

頭が長く、白い髭をたくわえ亀を従える神様。幸福の「福」、富貴の「禄」、長寿の「寿」の3つの徳を備えた神様です。

・寿老人(じゅろうじん)…長寿・富財・病気平癒の神様

長寿の象徴である鹿を連れ、人々の安全と健康を守る神様。杖に結ばれた巻物には、人々の寿命が記されていると言われています。

人々の願いを聞き届ける松の木。神社境内ではジャズフェスも開催。

編集部

では、社殿の建築などで特徴的な部分はありますか。

ご担当者様

当社の社殿は、昭和63年に昭和天皇御即位60年記念事業として造営しましたが、造営からわずか2年後に中核派と称する過激派集団により焼失しました。ですが、翌年に多くの方のご奉賛を賜り無事再建することができました。また、平成2年には流造の様式で改築しました。流造は平安時代の初期に成立した建築様式で、切妻造の屋根の全面が長いという特徴があり、屋根は沿って前方に伸びていますが、これが向拝を作り出しています。向拝というのは、神社の正面で屋根が前に張り出した部分を指します。境内はとても広く、美しい木々や花々を見ることができる特別な空間です。

編集部

地域の方のご尽力によって再建されたんですね。ホームページでは三本願い松という松の木があると拝見しました。

ご担当者様

三本願い松の木は当社の御神木です。昔から「悪しきことはスギ去れ、願いを叶うをマツ」と杉の木に願掛けを行うと災いから逃れることができ、願いが叶うと信じられてきました。現在もこの杉の木は多くの方の願いを聞き、人々の幸福を見守っています。また、かつては道灌杉(どうかんすぎ)と呼ばれる杉の木もありました。これは太田道灌(おおたどうかん)という室町時代の武将が、豊島一族と戦った際、当社へ本陣を布き、戦での勝利を願って杉の木を1本献植したと言われています。道灌杉と呼ばれ天高く聳え立っていましたが、昭和17年に枯れてしまい、現在は杉の木があった跡を残すのみとなっています。その杉の木も神社では大切に保護しておりますので、ご覧いただくことができます。

編集部

では、神社で行われている行事にはどんなものがありますか。

ご担当者様

6月の第1日曜日に例大祭が行われ、8月にはNUNOジャズフェスが行われています(※パンデミック時より休止中)。またお正月には中野区内のみならず、練馬区や西東京エリアからも多くご来訪いただいています。

■神社でジャズフェスとはオシャレですね!ネットでの情報で恐縮ですが、さまざまなパフォーマーの方が出演されているんですね。とても賑やかで楽しそうです!他にはどんな行事が行われていますか。

☆2月の最初の午の日には初午祭というお祭りが開催されます。京都の伏見稲荷大社の御祭神が2月の初午の日に降臨したことに由来し、全国の稲荷社で五穀豊穣や商売繁盛のお祈りが捧げられます。当社でも境内末社の稲荷社において執り行っています。次に、神社で最も重要なお祭りの一つである祈年祭です。毎年2月17日に行われるもので「としごいのまつり」とも呼ばれています。その年の農作業の始まりにあたり、一年間の五穀豊穣や国家の繁栄を祈る祭礼です。6月には夏越の大祓を行い、茅の輪をくぐり無病息災を祈る儀式を行います。秋には七五三のシーズンとなり地域の子どもたちがたくさん参拝に訪れてくれています。11月23日には収穫祭にあたる新嘗祭を行い、これも神社では重要な祭事の一つです。その年に収穫した五穀を神前にお供えし、五穀豊穣であったことへの感謝のお祈りを捧げ、そのお下がりを戴きます。そして、12月30日には年越の大祓を行い、夏からの半年間の罪穢れを祓い、翌年を新たな気持ちで迎えられるよう準備を整えます。そのように年間を通してさまざまな行事や神事が行われている、とても活気ある神社です。

今後の展望

この先も次の世代へ「神社」という地域の方が集う貴重な場所を継承していくべく、お祭りや地域の方との交流を大切にし、この町にとって必要な存在であり続けることを目指していきます。

インタビューまとめ

中野区はベッドタウンとしても利用されることが多く、同時にサブカルチャーの聖地としても知られる「中野ブロードウェイ」など若者に人気の施設も多くある町です。そんな多くの人々が日々行き交う場所で、その姿をずっと変えることなくあり続けてきた中野沼袋氷川神社。変わりゆくものの中で変わらないものがあるからこそ、そこに暮らす人々は安心することができ、神社を大切な存在だと思えるのだと思います。

現在神社ではインスタグラムやXなどのSNSによる発信も行っており、これまで親しんでいただいた方々だけでなく若い世代や遠方の方へ向けてもその魅力を届けています。東京観光に来られた際には、電車でも車でも参拝しやすいこの神社に足を伸ばしてみるのも良いのではないでしょうか。

中野沼袋氷川神社

住所:〒165-0025 東京都中野区沼袋1-31-4
TEL:03-3386-5566
FAX:03-3388-9331
最寄駅:西武新宿線「沼袋駅」北口より徒歩2分
JR中央・総武線、地下鉄東西線「中野駅」北口より徒歩20分/バス約10分(練馬駅行きバス「令和小学校」下車徒歩5分)
駐車場完備:25台
URL:https://hikawa-n.or.jp/

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この記事を書いた人

ラボ編集部のアバター ラボ編集部 編集者・取材ライター

歴史と文化遺産に情熱を注ぐ29歳の編集者、山本さくらです。子どもが1人いる母として、家族との時間を大切にしながらも、文化遺産ラボの立ち上げメンバーとして、編集やインタビューを担当しています。旅行が大好きで、訪れる先では必ずその地域の文化遺産を訪問し、歴史の奥深さを体感しています。
文化遺産ラボを通じて、歴史や文化遺産の魅力をもっと多くの方に届けたいと日々奮闘中。歴史好きの方も、まだ触れていない方も、ぜひ一緒にこの旅を楽しみましょう!

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