「留学してみたいけど、実際いくらかかるの?」――多くの人が最初に抱くのがこの疑問です。学費や生活費、滞在費だけでなく、渡航費や保険料まで含めると総額は数十万円から数百万円まで幅があります。
この記事では、留学費用の相場を国別・期間別・目的別にわかりやすく整理。
さらに、節約のコツや見積り方法、よくある質問まで徹底的に解説します。
1年間の留学費用の目安
まずは、人気の高い主要英語圏5カ国について、1年間の留学費用の目安を比較してみましょう。
国 | 短期(2週間) | 中期(3か月) | 長期(1年・語学留学) | ワーキングホリデー(1年) |
---|---|---|---|---|
アメリカ | 30〜50万円 | 80〜120万円 | 230万〜600万円 | 制度なし |
イギリス | 35〜55万円 | 90〜130万円 | 300万〜650万円 | 180万〜200万円 |
カナダ | 25〜45万円 | 70〜110万円 | 200万〜450万円 | 120万〜140万円 |
オーストラリア | 25〜40万円 | 60〜100万円 | 200万〜350万円 | 100万〜130万円 |
ニュージーランド | 20〜40万円 | 60〜100万円 | 200万〜400万円 | 100万〜130万円 |
この表からもわかるように、同じ1年間でも国や留学のスタイルによって費用は大きく異なります。
たとえばアメリカの大学留学は800万円近くかかる一方、オーストラリアやニュージーランドのワーホリであれば100万円台に抑えることも可能です。
留学費用の基本を知る
「留学って実際いくらかかるんだろう?」多くの人がまず気になるのが費用の全体像です。
学費だけでなく、滞在費や食費、航空券、保険など、思った以上に多くの項目がありますので、留学費用の相場を理解するための基礎知識を整理してみましょう。
何が「留学費用」に含まれるか
留学費用は「学費+生活費+その他諸経費」で構成されています。下の表は代表的な内訳です。
費用項目 | 内容の例 | 備考 |
---|---|---|
学費 | 授業料、入学金、教材費 | 国や学校によって大きく変動 |
滞在費 | ホームステイ、学生寮、シェアハウス | 住む地域で差が大きい |
生活費 | 食費、交通費、娯楽費 | 為替や物価の影響を受けやすい |
渡航費 | 航空券、空港送迎 | シーズンによって変動 |
保険・ビザ関連 | 海外保険、ビザ申請費用 | 国ごとに規定あり |
その他 | 通信費、交際費、緊急時の医療費など | 想定外の出費に注意 |
費用が変動する主な要因
同じ1年間の留学でも、人によってかかる金額は大きく異なります。その差を生むのは次のような要因です。
- 国や都市の物価差:アメリカの大都市とフィリピンの地方都市では数倍の違い
- 留学期間:1か月の短期と1年の長期では総額が大きく変わる
- 滞在スタイル:ホームステイ、寮、シェアハウスで費用が変動
- 為替レート:円安になると留学費用が一気に高くなる
こうした要因を理解しておくと、「自分の予算でどの国・どの期間なら現実的か」がイメージしやすくなります。
出発前に準備しておきたい初期費用の一覧
留学費用は現地で支払う分だけではありません。出発前にまとまったお金が必要になるケースも多いです。
- 入学金・授業料の前納(数か月分〜半年分)
- ビザ申請費用
- 航空券(往復)
- 海外保険(長期加入で割引になることも)
目安として、50〜100万円程度を出発前に準備しておく人が多いのが現実です。
目的別・タイプ別で見る留学費用相場
留学の目的によって、かかる費用は大きく変わります。語学力を伸ばしたいのか、大学や専門学校に進学したいのか、あるいは働きながら滞在したいのか。それぞれのタイプごとに「相場」を把握しておくと、自分に合った予算感がつかみやすくなります。
語学留学(短期・中期・長期)
語学留学は最も人気が高く、費用相場も比較的分かりやすいジャンルです。
- 1か月:20〜40万円(授業料+滞在費+生活費)
- 3か月:60〜120万円
- 6か月〜1年:150〜300万円
短期は社会人や大学生の夏休みに人気。長期になると「授業料」と「住居費」が大きな割合を占めるので、国や都市の選び方がカギになります。
大学正規課程(学部/大学院)
現地の大学に入学する場合は、学費が大きな比重を占めます。特にアメリカやイギリスなどの英語圏は授業料が高額です。
- アメリカの州立大学:年間150〜300万円
- アメリカの私立大学:年間300〜600万円
- イギリス・オーストラリアの大学:年間200〜400万円
生活費を含めると、1年あたり合計400〜600万円前後が目安となります。奨学金や留学ローンを利用する人も多いです。
高校留学
高校留学は授業料だけでなく、寮費やホームステイ費用が必ず発生します。保護者のサポートが必要なため、費用は高めになる傾向です。
- 1年間の費用相場:250〜400万円
- 滞在方法によって差が大きい(寮>ホームステイ>シェアハウス)
早期から準備することで奨学金を得られるチャンスが広がります。
ワーキングホリデー留学
ワーホリは「働きながら滞在できる」のが魅力で、初期費用さえ準備すれば現地収入で生活を補える点が特徴です。
- 渡航前に必要な費用:50〜100万円(ビザ、航空券、最初の数か月分の生活費)
- 滞在中はアルバイト収入で生活費をカバー可能
節約志向の人には最もコストを抑えられる留学スタイルですが、就労先の確保や語学力によって状況は大きく変わります。
国・都市別の留学費用比較モデル
留学費用は「どの国・どの都市を選ぶか」で大きく変わります。授業料や住居費に加えて、日常の生活費や物価の差が影響するため、同じ期間でも合計額に数十万円〜数百万円の差が出ることもあります。
代表的な国・地域ごとの相場を整理しました。
人気英語圏(アメリカ/カナダ/オーストラリア/ニュージーランド)
- アメリカ
授業料が高額で、生活費も都市部は割高。1年間で300〜600万円が目安。ニューヨークやロサンゼルスは特に高く、地方都市は比較的抑えられる。 - カナダ
アメリカに比べ学費がやや安く、年間250〜400万円程度。生活水準が高い都市(バンクーバー、トロント)はやや割高だが、治安や環境面での安心感が強い。 - オーストラリア
授業料は年間200〜350万円程度。ワーホリ制度があるため、アルバイトで生活費を補いやすい。シドニーやメルボルンは家賃が高め。 - ニュージーランド
費用はオーストラリアよりやや安く、年間200〜300万円前後。自然が多く、のんびりした環境で生活できるのが魅力。
ヨーロッパ(イギリス/アイルランド/その他)
- イギリス
授業料・生活費ともに高く、1年間で350〜600万円が相場。ロンドンは特に物価が高いが、学問の質や歴史的背景から人気がある。 - アイルランド
イギリスに比べ学費・生活費がやや安く、年間250〜350万円程度。英語圏の中では比較的落ち着いたコスト感で学べる。 - その他のヨーロッパ(フランス、ドイツ、スペインなど)
国公立大学であれば授業料が安く、生活費を含めても年間150〜250万円程度で済むこともある。ただし授業が英語以外の言語で行われるケースも多いため注意。
アジア・その他の地域(韓国、フィリピン、東南アジアなど)
- 韓国
学費は年間100〜200万円前後と安く、生活費も比較的抑えられる。日本から近く、短期留学にも人気。 - フィリピン
マンツーマン授業が受けられる割に授業料が安く、1年間で100〜200万円程度。短期語学留学の定番。 - 東南アジア(マレーシア、タイなど)
学費・生活費ともに低コストで、年間100〜200万円程度。物価の安さが魅力だが、教育レベルや環境面で差があるため下調べが必須。
物価の差・都市部 vs 地方の比較
同じ国でも都市部と地方では費用差が大きく出ます。
- 都市部:授業料・家賃・生活費が高いが、学校数やアルバイト先が多い
- 地方都市:家賃や食費が安く、落ち着いた環境で学べるが、アルバイトや娯楽は少なめ
この差を理解して選ぶと、予算に合った留学計画を立てやすくなります。
期間別の留学費用シミュレーション
留学費用は「どれくらいの期間滞在するか」によって大きく変わります。1か月の短期留学と1年間の長期留学では、必要な金額も生活スタイルもまったく異なるため、あらかじめ期間ごとの目安を知っておくと計画が立てやすくなります。
一般的な語学留学を想定したシミュレーション例を紹介します。
1か月の場合のケーススタディ(語学留学)
1か月の短期留学は、学生の夏休みや社会人の休暇を利用して参加する人が多いです。費用は以下が目安です。
- 学費+入学金:10〜15万円
- 滞在費(ホームステイ/寮):8〜15万円
- 生活費・交通費:5〜8万円
- 航空券・保険など:10〜15万円
合計すると 約30〜50万円 が相場です。短期間なので生活費は抑えやすい一方、航空券や保険は期間に関係なく必要なため、割高に感じることもあります。
3か月〜6か月の場合
3か月以上の中期留学は、語学力をしっかり伸ばしたい人に人気です。
- 学費:30〜60万円
- 滞在費:25〜50万円
- 生活費:15〜30万円
- 渡航費・保険:15〜25万円
合計で 約80〜150万円 が目安です。3か月を超えると「現地での生活に慣れてくる」ため、節約もしやすくなります。半年程度あれば、資格試験対策やインターンシップ体験も視野に入ってきます。
1年の場合(長期留学・大学留学等)
1年間の長期留学は、人生設計にも関わる大きな投資です。費用は国や学校によって差がありますが、語学留学なら次のような目安です。
- 学費:60〜120万円
- 滞在費:50〜100万円
- 生活費:40〜80万円
- 航空券・保険・ビザ等:20〜40万円
合計で 約180〜300万円 が一般的な相場です。大学や専門課程の場合はさらに高額になり、1年間で400〜600万円かかるケースも珍しくありません。
長期留学では「為替の変動」「現地での予想外の出費」にも備えて、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
留学費用を抑える方法・節約術
留学は「数百万円単位の投資」になることも多いため、少しでも費用を抑えたいと考える人は少なくありません。特に同じ国・同じ期間でも、工夫次第で数十万円の差が出ることもあります。ここでは、無理のない範囲でできる代表的な節約のポイントを紹介します。
滞在方法を工夫する(シェアハウス/ホームステイ/学生寮など)
住まいの選び方は留学費用に直結します。
- 学生寮:学校から近く安心だが、家賃はやや高め
- ホームステイ:食費込みで割安に感じる場合もあるが、食生活や生活ルールに慣れる必要がある
- シェアハウス:最も費用を抑えやすく、現地の友人も作りやすい
「立地+滞在方法」を工夫するだけで、1年間で20〜50万円の節約につながるケースもあります。
授業料や学校を選ぶポイント
同じ国でも、学校選びで大きなコスト差が出ます。
- 公立校やコミュニティカレッジを選ぶと学費は大幅に安い
- 奨学金や助成金を活用できるケースもある
- 入学時期を「オフシーズン」にすると授業料が割引される学校もある
学費は留学費用全体の中で最も大きな割合を占めるため、学校選びが節約の第一歩といえます。
生活費・食費・交通費など日常コストの節約術
現地での生活習慣を工夫することで、無理なく節約できます。
- 外食中心ではなく自炊を取り入れる
- 定期券や学割を活用する
- 現地のスーパーやフリーマーケットを利用する
- サークルやイベントに参加して娯楽費を工夫する
こうした小さな工夫が積み重なると、半年で数十万円の節約につながります。
為替レートやタイミングでコストを下げるコツ
円安が進むと留学費用は大きく膨らみます。
- 渡航費や授業料は「為替が安定している時期」に早めに支払う
- 銀行やカード会社の「為替手数料」が安いサービスを選ぶ
- 送金はまとめて行い、少額を何度も送らない
為替の影響は1年間で数十万円単位に及ぶことがあるため、計画的に準備することが重要です。
留学費用を準備する上での注意点・リスク
留学資金は「見積もった金額+α」で考えておくのが安心です。なぜなら、為替の変動や追加費用など、想定外の出費が必ずといっていいほど発生するからです。ここでは、資金計画の段階で注意しておきたいポイントとリスクを整理します。
為替変動の影響と備え方
留学費用は現地通貨で支払うため、円高・円安の影響を大きく受けます。
- 円安が進むと授業料や生活費が大幅に高くなる
- 為替差だけで年間10〜30万円以上の負担増になることもある
- 早めの外貨両替や留学ローンを利用して影響を分散させるのも有効
「為替のタイミング」次第で予算が崩れる可能性があるため、余裕を持った計画が欠かせません。
予期せぬ追加費用
見積もりには含まれていなくても、現地で必要になるお金があります。
- 医療費(風邪やケガでの診察、薬代)
- 教材費(追加の教科書やオンラインツール)
- 交流費(現地の友人とのイベント参加費など)
- 延長やコース変更に伴う追加授業料
こうした出費は小さな積み重ねで、数万円〜十数万円に達することもあります。
ビザ・滞在許可関係の費用と規定変更の可能性
ビザや滞在許可の規定は国ごとに異なり、年ごとに変更される場合もあります。
- 学生ビザ申請料:数万円〜数十万円
- 滞在延長やビザ切り替えの追加費用
- 規定変更で必要書類や費用が増えるケース
特に長期留学を検討している人は、最新情報を大使館や公式サイトで確認しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
留学費用については、多くの人が同じような疑問を抱きます。ここでは特に検索されやすい質問を整理し、実際の相場や体験談を踏まえて答えていきます。
1年間/半年でどのくらい貯金が必要?
- 半年間の語学留学なら、授業料・滞在費・生活費を含めて 80〜150万円程度 が目安です。
- 1年間の語学留学の場合は、180〜300万円前後 が相場です。
大学留学や専門課程に進む場合は、学費が上乗せされて年間400〜600万円以上になることもあります。
語学学校と大学、どちらがコストパフォーマンスが良い?
- 語学学校:授業料が安く、短期間で集中学習できる。短期の留学に向いている。
- 大学留学:学費は高いが、学位取得や専門分野の学習が可能。キャリアに直結する価値がある。
「将来の目的」によってどちらがコスパが良いか変わります。資格や就職を重視するなら大学、短期的な語学力アップなら語学学校がおすすめです。
保険はどれくらいかかる?おすすめは?
海外留学保険は、国や期間によって差がありますが、
- 1か月:約1〜2万円
- 半年:約8〜12万円
- 1年:約15〜25万円
医療費が高い国(アメリカ・カナダなど)では加入必須です。現地の大学が指定する保険に加入しなければならないケースもあるため、事前確認が必要です。
留学後に返せる奨学金制度はある?
日本学生支援機構(JASSO)や地方自治体、民間財団による奨学金制度があります。
- 給付型(返済不要):競争率が高いが、負担を大きく減らせる
- 貸与型(返済あり):返済義務があるが、利子が低い場合が多い
「留学費用が高すぎて無理」と思う前に、奨学金制度を調べることが第一歩になります。
まとめ
留学費用の相場は、国・都市・期間・目的によって大きく変わります。短期の語学留学なら30〜50万円程度から始められますが、1年間の長期留学や大学進学を伴う場合は、300万円以上かかることも珍しくありません。
この記事で紹介してきたように、留学費用を構成するのは大きく分けて「学費」「滞在費」「生活費」「渡航費」「保険・ビザ関連費用」です。そして費用を大きく左右するのは、以下のポイントです。
- 行き先の国や都市(物価や学費の差)
- 留学期間の長さ
- 滞在方法(寮・ホームステイ・シェアハウスなど)
- 為替レートや物価の変動
つまり「自分の目的に合った留学スタイル」を明確にした上で、見積もりをとり、余裕をもった資金計画を立てることが成功への第一歩です。
最後に、費用を抑えるための工夫も忘れないようにしましょう。
- 滞在方法や学校選びでコストを調整する
- 現地での生活費は自炊や学割を活用して節約する
- 奨学金や助成金を調べて活用する
留学は決して安い投資ではありませんが、得られる経験や学びはお金に代えられない価値があります。しっかりと相場を理解し、賢く準備することで、安心して海外での新しい一歩を踏み出せるはずです。