この記事ではバーナム効果について解説したいと思います。
バーナム効果とは?どんな現象?わかりやすく解説
まず初めに、バーナム効果とはどんな現象なのか?について簡単に説明しましょう。 バーナム効果とは誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な記述を、自分だけに当てはまると思い込んでしまう心理的現象のことです。 人が占いが好きな理由について研究していた心理学者のバートラム・フォアが発見したことから「フォアラー効果」とも呼ばれています。 これは心理的な効果であり、占いだけに該当するものではありません。しかし占いはバーナム効果が頻繁に利用されることが多く、バーナム効果はなくてはならないものです。 例えば、占い師に「あなたは今、悩んでいることがありますね?」と言われると、「この占い師は私の気持ちをお見通しなんだ!」と驚くかもしれません。 しかし冷静に考えてみると、占い師のところにやってくるということは何らかの悩みがある場合がほとんどでしょう。もっと言ってしまえば、世の中には全く悩みがない人のほうが少数派ですから、「悩みがあるんでしょう?」と聞けばかなりの確率で「はい」となるわけです。
バーナム効果とプラシーボ効果の関係って?
バーナム効果は、プラシーボ効果(プラセボ効果)と関連性があると言われています。プラシーボ効果とは医療の分野で活用されている心理効果です。 新しい薬を作る場合には、患者さんに向けてこれから飲んでもらう薬の効果を説明した後、新薬を飲ませるグループと偽物の薬を飲ませるグループに分けてその効果を比べます。 新薬を飲むと効果があるのは当然のことですが、不思議なことに偽物の薬を飲んだグループの中にも「薬が効いてきた」と実感したり、データや症状がよくなったりする人が現れるのです。 これをプラシーボ効果といい、本物の薬だと思い込むことで効果を発揮するこの効果は、現在でもその理由が解明されていない不思議な心理効果です。 これと同じように占いでも「あなたの性格はこういうものではないですか?」とか「こんなことで悩んでいるのではないでしょうか?」と言われると「そうなのかもしれない」と思い込んでしまうこともあるのです。その結果、占いで指摘されたような行動を起こしやすくなるのです。
バーナム効果と確証バイアスの違いとは?
確証バイアスとは、「自分に都合の良い」情報ばかりに目がいってしまい、「自分に都合の良い」情報ばかりを集め、「自分に都合の良い」方向で物事を評価してしまうことです。 もちろん、これはポジティブな情報だけではなく、自分がネガティブな情報を求めている場合にも当てはまります。 「ネガティブな情報なんて集めることあるの?」なんて不思議に思うかもしれませんが、例えば体調が悪くて自分が「病気かもしれない」と思ったときに、自分が想像する病気になるように都合の良いデータだけを拾ってきてしまうこともこれに該当します。 いずれにしろ「偏った情報を集め、自分に都合が良いように解釈をする」ことが確証バイアスです。バーナム効果とは、誰にでも当てはまることでありながら、「自分にだけ当てはまること」と錯覚を起こしてしまう現象ですから、両者はちょっと異なりますね。
知ってた?バーナム効果を利用した占いの例
占いにおいてバーナム効果を利用した例を紹介します。占い全般
そもそも占い全般が、バーナム効果を活用している定番です。というのも、占いの結果というのはよく考えると誰にでも当てはまるものが多いからです。 例えば、占いの結果を友達と交換してみてください。 おそらく、友達の占い結果が自分に当てはまる、逆に自分の占い結果が友達にも当てはまるということがいくつかあることでしょう。占い師が見てくれた、星座や生年月日などから占ってもらったという気持ちがあるために、それが自分にだけ向けられた情報と思いやすくなっています。
血液型診断
昔から血液型を利用した診断はたくさんあります。「A型だから几帳面」「O型だから大らか」というものですね。 しかし、科学的に考えると血液型というのは血液を構成する成分の違いによって生まれるものであり、それが性格を左右するのは非科学的です。 血液型を利用した診断は占いと同じように、他人の診断結果と入れ替えても「自分にも当てはまっている」と思うことがいくつもあるはずです。自分の血液型ではなく、違う血液型をチェックしてみましょう。おそらくどの血液型にして占ってみても「自分にも当てはまる」と思うポイントを見つけることができるでしょう。
おみくじ
バーナム効果を利用したものには、おみくじもあります。 おみくじの結果も誰にでも当てはまるような内容となっているので、占いの場合と同様です。 「自分の意思で引いた」という思いがあるため、「当たっているはず」「受け入れたい」というバイアスがかかってしまうのです。どうして?わかっていてもバーナム効果を信じてしまう心理とは?
なぜ多くの人はバーナム効果で思い込みを起こしてしまうのでしょうか?その心理について解説します。- 「当たっているように思えること」と「本当に当たっていること」を混在してしまう
- 占いをチェックする人は基本的に「信じたい」と思ってやっている
すると「本当に当たっている事」は、偶然の割合を大きく超えてはいないことに気がつくはずです。
バーナム効果はうざい?うっとおしいと感じる人もいる
バーナム効果は心理的に相手の心を掴む場合に利用することができますが、バーナム効果を狙いすぎると「うざい」と思われて逆効果になってしまうケースもあります。 一般的な意見ですが男性は女性と違って、相手に決めつけられることを嫌がる傾向にあります。これは占いが好きなのが男性よりも圧倒的に女性の方が多いことからもわかることですね。
- 理屈っぽい
- 理論的な話が好き
- プライドが高い
ビジネスや恋愛でのバーナム効果活用法!
バーナム効果はビジネスや恋愛に利用することができます。 例えばセールスする時にお客さんに対して、「当社の商品について説明します」と入ってしまうと、なかなか聞いてもらえないことも多いかと思います。 そんな時には、「こんなことにお悩みではありませんか?」と、どの会社でも当てはまりそうなことについてフワッとスタートしてみましょう。そうすればバーナム効果により「この商品は自分達の困っていることを解決してくれる」「このセールスマンは我社の悩み事を理解してくれている」と思ってもらえます。
いずれの場合にせよ、バーナム効果を上手に使えば 相手との距離を近くするのに役立ちます。
占いでバーナム効果を見抜くためにはどうすればいい?
最後に、占いで利用されているバーナム効果を見抜くためのコツについて解説していきます。 まず、必ず占いにはバーナム効果が利用されているということを前提にして考えてみましょう。 「当たっているような気がする!」と思うことが、「それって誰にでも当てはまるよね?」と思うことではないか厳しくチェックしましょう。 おそらくそれを意識することで、ほとんどのバーナム効果を見抜くことができるでしょう。ただし占いをこんな目線で見てしまうと、面白くないのは間違いありません。占いは占いとして楽しく受け止めるのであれば、あまり深く考えずに楽しむのが良いでしょう。
バーナム効果についてのまとめ
占いではバーナム効果を上手に利用して人々の心を取り込んでいます。 このバーナム効果についてしっかりと理解すれば、占いは楽しくエンターテイメントとして受け入れることができますし、人間関係を円滑に進めるのにも大きく役立ちます。人々の心を魅了してやまない占いは、このように心理効果を存分に利用して成り立っているんですね。